山形の玄関口のほど近くにある生そばと山形地酒処「続おそばに」が掲げるのは、食を通したおもてなし。“はじまりはおそばに”を合言葉に、心豊かな食事のひとときへと誘います。
JR山形駅を出て右側に「続おそばに」はあります。「山形はとにかく人が良くて、食べものがおいしい。四季がはっきりしているところも好きです」。大学の進学を機に山形暮らしを始めた熊谷晃一さん。“山形愛”をそばと地酒に込めて、日々多くのお客さんを迎えています。
山形といえば「板そば」が有名ですが、こちらでは県のオリジナル品種で村山地域産の「でわかおり」を使用。香り高く、上品な風味が山形の日本酒によく合います。お店では、冷たい肉そばやもりそばなど、メニューに合わせてそば粉を使い分けているとのこと。
クセが少なく食べる人を選ばない「米の娘ぶた」のメニューを、おすすめとして一番に紹介。
地元客から観光客まで幅広い客層が訪れるこちらでは、1年ほど前に「もっと山形の食を楽しんでもらおう」とメニューを増やして一新。日頃から地産地消を実践してきた熊谷さんは、食材の一つに「米の娘ぶた」を選びました。
「脂が特においしいですね。みそ、しょうゆ、塩、どんな調味料でもうま味が際立って、メニューの幅が一気に広がりました」。主に使用しているのは、脂の味がよく分かるバラ肉。「『米の娘ぶた』の辛みそ鍋」は、豚肉と相性のいいみそ味で、地元のさまざまな野菜を味わえると喜ばれ、特別メニューとして登場するようになりました。
「『米の娘ぶた』はクセが少ないので食べる人を選びません。おすすめは?と聞かれると一番に米の娘ぶたを使ったメニューをご紹介しています」。新作も考案中とのことで、また違った味の楽しみが広がっていきそうです。
山形にたくさんある、この土地だけの魅力的な食材や料理を、これからも発信していきたい。
熊谷さんは山形の味を広く知ってもらうために、県外に冷たい肉そばのPRに行くこともあるそうです。「まず“冷たい”という食べ方に皆さん驚かれますね。そうしたこの土地だけの魅力的な食材や料理が山形にはたくさんあります。ぜひ多くの方に知ってもらえるよう、これからも発信していきたいです」。
いつもすぐそばにある山形の食。「続おそばに」は、また食べに行きたい、あの人を連れて行ってあげたい、そんな思いがこみあげてくるような、山形の温もりあふれるお店でした。飲み会のシメ・フィニッシュもおそばに。
「米の娘ぶた」のバラ焼き
味付けは、お店オリジナルの塩だれで。若い人から年配の方まで幅広く喜ばれている。
代表 熊谷 晃一 さん
神奈川県生まれ、愛知県育ち。山形大学に進学して山形の良さに惚れ込み、市内の損害保険会社に就職。代理店として独立。そば店「おそばに」を営んでいた友人の遺志を継いで、4年前に「続おそばに」をオープン。
取材・文=阿部 薫
続おそばに
営業時間/
昼 11:00〜13:45(L.O13:15)
夜 17:45〜22:00(L.O21:25)
※金土の夜は24:00まで(L.O23:30)
※そばがなくなり次第終了
定休日/日曜日・祝日
山形市幸町5-20
Tel.023-633-3451
https://www.osobani.com/
お店に聞いた「米の娘ぶた」
おすすめレシピ
「米の娘ぶた」と根菜ときのこのカレー南蛮そば
誰でも簡単に作れておいしいそばメニューとして、失敗の少ないカレー南蛮を教えていただきました。麺つゆは甘みの少ないものがおすすめ。家庭好みにアレンジして楽しんでみてください。
- 「米の娘ぶた」バラ スライス 150g
- そば(生でも乾麺でも可) 3人分
- 大根 300g
- 玉ねぎ 150g
- ごぼう 50g
- ねぎ 50g
- まいたけ 100g
- 水溶き片栗粉 適量
- 麺つゆ(市販品で可)希釈したもの1200ml
- カレールー 市販品で1/2程度
- かつおぶし 適量
- 大根はいちょう切り、玉ねぎはスライスして、ねぎは斜めスライス、まいたけは手で裂いて、ごぼうはささがきに。豚バラも食べやすい大きさに切っておく。
- 麺つゆを鍋に入れ、大根、玉ねぎ、ごぼう、まいたけを加えて大根がやわらかくなるまで煮る。
- 一旦火を止め、「米の娘ぶた」を入れる。再び中火で加熱して肉に火を通す。
- 火を止めてカレールーを割り入れ、弱火で5分ほど煮る。
- 再び火を止めて水溶き片栗粉を加え、弱火で1分ほど加熱してとろみをつける。
- そばを茹でる。茹で上がったら器に盛って、温めておいたカレーの汁をかける。ねぎをのせ、お好みでかつおぶしをかけてできあがり。
「米の娘ぶた」の辛みそ鍋
お肉の味が引き立つよう、独自に配合した辛みそを使用。くつくつと煮た季節の地元野菜に味がしみこんで、一口ごとに満足。ゴールデンウィークまで、日本酒と一緒に楽しめる一品。