“1枚のピザからハッピーな1日を”「HAVE A GOOD SLICE」は、東北で唯一のニューヨークスタイルのピザショップ。ニューヨーカーが親しむ味に、山形っ子の2人がスパイスやトッピングを加えた“ご当地ピザ”が人気上昇中です。
車の工場をセルフリノベーションした店内にはビンテージの家具が並び、ショーケースからは食欲をそそる香り。あたかもアメリカの街角にあるような雰囲気の「HAVE A GOOD SLICE」は、ニューヨークスタイルのピザのお店です。
NYスタイルのピザは、直径約50センチを8カットし、1スライスずつ食べるのが主流。生地は薄く、さくっふわっとした食感が特徴です。「生地は無添加食材を使って、ほんのり甘く、適度に厚みのあるクリスピーな食感にしました。粉の配合や製法に3年半ほどかかりましたが、具材を絶妙に引き立てる生地に仕上がったと思います。ピザは定番と季節限定、週替わりの6種類。ピザで季節を感じてもらえるのは山形ならではです」。
昔からアメリカンカルチャーに憧れを抱いていたというオーナーの小林さん。大好きな郷里でできる仕事を模索する中で、「長く愛されるお店を自分の“好き”とかけあわせてつくりたい」と、NYスタイルのピザ店の開業にたどり着きました。
肉質に惚れ込んだ“米の娘ぶた”と地元の食材を使ってつくるアメリカの家庭料理
その味を再現するのに声をかけたのが幼馴染の金沢シェフ。2人はニューヨークへ研修に赴き、自分たちなりのNYピザを開発、アメリカの家庭料理に地元の食材を組み合わせたサイドメニューも考案しました。その一つが「米の娘ぶた」のポークソテーです。
「さっぱりしているのに甘い、その肉質に惚れ込みました。やわらかすぎず食べ応えがあって上品な味。肉好きの男性にも年配の方にも人気です」。“焼き”の加減に定評のある金沢シェフ、厚切りのロースをフライパンとオーブンで二度焼きし、脂の甘みも余すことなく、肉汁は季節の食材と合わせてソースに仕上げます。夏はトマトソースや、レモンと白ワインのソースなど、肉のうま味を季節ごとに味わえるのも楽しみの一つです。
お店のメニューはもちろんデリバリーもテイクアウトもOK。遠方へも1スライスずつ真空冷凍して発送、今では県外、九州などからも注文があるそうです。
オープンから3年。2人は理想とするお店を目指し続けています。「小さい頃からアメリカに憧れて、東京にいた時はアパレルや音楽などさまざまな業種のカッコイイ人たちに出会いました。そうして受けたいい影響を、この場所から今度は自分が与える存在になりたい。たくさんの人に喜んでもらえる、そんな居心地のいい場所にしたいです」。
お店の入り口には「Have a nice day」の文字。ここを訪れる人の毎日がいい日でありますように、2人のそんな想いが込められています。
ミートボール
金沢シェフがそのおいしさに感動したという、ニューヨークの老舗ピザ店のミートボールを日本人好みの味にアレンジ。国産豚肉と牛肉の合挽き肉とハーブやスパイスを合わせた、特大サイズの人気サイドメニュー。
オーナー 小林 健人 さん
ヘッドシェフ 金沢 修平 さん
山形市出身で幼馴染のお二人。小林さんは東京でR&Bシンガーとして5年ほど活動、ビンテージショップに勤務し帰郷。金沢さんは仙台市内のイタリア料理店でシェフを務めたのち、山形市内の料理店で修業していたところを小林さんから声がかかり、本場ニューヨークで研修後、2018年に「HAVE A GOOD SLICE」をオープン。
取材・文=阿部 薫
お店に聞いた「米の娘ぶた」
おすすめレシピ
「米の娘ぶた」のポークソテー
普段の食卓でも重宝する豚肉メニュー。見た目も食欲もアップする、お店のメニューを紹介していただきました。トマトソースでさっぱりいただく夏のポークソテーです。
- 「米の娘ぶた」ロース 1枚(約130g)
- 塩こしょう 適量
- 強力粉 適量
- にんにく 1片
- ローズマリー 1本
- 油 適量
付け合わせの野菜 お好みで
-
【ソース】
- ミニトマト 適量
- 塩 適量
- ロース肉は筋や脂肪を包丁で取り除き、両面に塩こしょうで下味を付ける。その後、全体に強力粉をまぶしてから余分な粉をはたく。
- フライパンに油をひき、つぶしたにんにくと@を入れて中火にかける。油が温まったら、ローズマリーを加える。
- 肉の表面に脂が浮いて来たらひっくり返し、1〜2分焼く。火を止めて肉を一旦器などに移して休ませる。ローズマリーも取り出す。
- Bのフライパンに、4等分に切ったミニトマトを入れ、適量の塩を加える。水気が出てトロリとした感触になったらソースの完成。
- Bの肉をもう一度少しだけフライパンで火にかけるか、200℃のオーブンレンジで1〜2分温める。
- 皿に付け合わせの野菜とDを盛り付け、Cのソースをかける。
※肉を2回に分けて加熱することで、パサつかずに仕上がります。休ませている間も余熱で火が通っているので、フライパンから一度下ろして再加熱するのがポイント。
ぺパロニ(左)
今週のスペシャル(右)
香辛料がきいたアメリカ産サラミで味わうNYスタイル定番の「ぺパロニ」は、パイナップルのトッピングもオススメ。この日の「今週のスペシャル」は、しょうがが効いた自家製の肉みそと県産アスパラガス、ナス、ラディッシュを合わせた、和洋の取り合わせが楽しい1枚。