小さな一軒家のフレンチレストラン「ル シエル ブルー」。食材を育てる人、料理を食べる人を想い、丁寧に仕上げた一皿一皿には、ほっとするような味わいと温もりがあります。
深まる秋。厨房では、地元産のかぼちゃや在来作物の金谷ごぼうなどの食材が、調理されるのをうれしそうに待っているようでした。「レストラン ル シエル ブルー」には、赤松克重シェフがつくるスープを目当てに、県内外から多くのファンが訪れます。
「赤ちゃんからお年寄りまで食べられて、心も満たせる料理は何かと考えた時にたどりついたのがスープでした」。フレンチのスープにはさまざまな製法がありますが、赤松シェフはバターや砂糖、ブイヨンや水は使わず、牛乳と少量の生クリームで仕上げています。食材から出る水分量も考慮して、切り方や調理法にもこだわり、これまで季節ごとの食材で百種類以上ものスープを研究してきました。食材のうま味が感じられるそのスープは、何だか日本のおみそ汁のようにしみじみとやさしい味わいです。
食材の味わいを深める「米の娘ぶた」、生産者の情熱が伝わるよう、食材と向き合う料理を
スープの主役は主に季節の野菜たちですが、ミネストローネや里芋のポタージュには「米の娘ぶた」を加えることもあるそうです。「『米の娘ぶた』のうま味が食材の味わいをぐっと深めてくれるんです。ブランド豚でありながら、価格も手頃で質が良く、本当においしい。お客様に豚肉を味わっていただくのにベストなお肉だとほれ込んでいます」。
シェフのお気に入りは肩ロースだそうで、この日のランチではグリエにして提供していました。「『米の娘ぶた』のうま味をより引き出すために、クミンやセロリシードなどのスパイスを漬け汁に使い、一度焼いてからさらに2時間以上をかけて低温調理しました」。じっくりと焼きあげたら焼き目をつけて香ばしく仕上げた、お店の人気メニューです。
「米の娘ぶたも、地元の野菜も、どれも生産者が情熱を注いで育てたもの。その熱量を余すことなくお客様に提供できるよう、日々食材と向き合って料理をしています。米の娘ぶたを思い切り味わっていただけるようなワイルドなメニューにもチャレンジしてみたいですね」。
供する料理が食べる人どうしの幸福をつなぐ架け橋となる一皿になってほしい
こぢんまりとした店内は、シェフが厨房からどの席の様子もうかがえるようにという配慮から。「お料理はお客様の時間を演出するもの。その一皿が、人と人との幸せをつなぐ架け橋になってほしいと願っています」。食を囲み、自然と広がる笑顔。会話だけにとどまらない、特別な時間が流れていました。
シェフ 赤松 克重 さん
山形市出身。東京の調理師専門学校に入学、同校が所有するフランス校で学び、現地の二ツ星レストランで修業。卒業後は東京のフレンチレストランや割烹和食店で経験を積む。山形に帰郷後は市内レストランのシェフを務め、平成28(2016)年、「レストラン ル シエル ブルー」をオープン。親しみやすくカジュアルなフレンチと、地物野菜を使ったスープで温かな食事のひとときを提供している。
取材・文=阿部 薫
レストラン
ル シエル ブルー
山形県上山市朝日台1-1-22
Tel.023-674-8753
営業時間/
12:00〜14:00(L.O13:30)
18:00〜20:00(L.O19:30)
定休日/
第2火曜日、毎週水曜日
お店に聞いた「米の娘ぶた」
おすすめレシピ
「米の娘ぶた」のスペアリブと豆のトマト煮込み
フランスの郷土料理「カスレ」を赤松シェフが「米の娘ぶた」のスペアリブで再現。骨付き肉は煮た時に縮みにくく、ほろほろ食感の仕上がりに。煮込み料理として味わっても、グラタン皿に盛り付けてチーズをかけて焼いてもOK。秋の夜長に家族でゆっくりと楽しみたい一皿です。
- 米の娘ぶたのスペアリブ
(バラブロックでも可) 150g×4 - 塩 適量
- こしょう 適量
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【豆のトマト煮込み】
- 乾燥秘伝豆 100g
- 玉ねぎ 1個
- にんじん 1本
- セロリ 1本
- トマトの水煮缶 1缶程度
- にんにく 1片
- 鷹の爪 少々
- オリーブオイル 適量
- 白ワイン 200ml
- 水 適量
※付け合わせの野菜、香辛料(チリパウダーやパプリカパウダー、コリアンダーなど)はお好みで。
- 乾燥秘伝豆は、一晩たっぷりの水に浸して戻す。鍋に水戻しした豆と適量の水を入れて熱し、8割方やわらかくなるまで煮る。
- スペアリブに適量の塩、こしょう、お好みの香辛料で下味をつけたら、ラップをして冷蔵庫に入れ2〜3時間ほど漬けておく。
- 野菜は角切り、にんにくはスライスする。
- フライパンに油をひいて熱し、Aを並べて中火で両面に焼き色が付くまで焼く。
- 鍋にオリーブオイルを入れて熱し、にんにくと鷹の爪を加えて香りを出したら、玉ねぎを甘味が出るまで炒める。セロリとにんじんを加えて、同じように甘味が出るまで炒める。
- Dにトマトの水煮缶と白ワインを加えてよく混ぜあわせる。その上にCのスペアリブを並べ、水をひたひたに加えて弱〜中火で2時間ほど煮る。この時くれぐれも焦がさないようにご注意を。煮汁がなくなってもう少し煮たい場合は少し水を加える。
- Eのスペアリブを皿に移して表面が乾燥しないようにラップをしておく。鍋の中に浮いた余分な脂をすくって取り除き、@の豆を入れて合わせて煮込み、塩、こしょうなどで味を調える。
- スペアリブとFを盛り付けて、お好みの野菜やマスタードなどを添える。
※1日置いてから食べる場合は、スペアリブを鍋に戻して味を染み込ませておきます。やわらかくなっているので皿に移す時は崩れないように注意。
「米の娘ぶた」肩ロースのグリエ
タプナードソース
厚みのある肩ロースのグリエをアンチョビとオリーブオイル、ケッパーを使ったタプナードソースで。ペースト状のソースの酸味と、肉の下味のスパイスの香りが響き合って「米の娘ぶた」の味わいを深めています。