コテージ村やグランドゴルフ場、温泉施設など、思う存分レジャーを満喫できる舟形若あゆ温泉「あゆっこ村」。大自然に囲まれたこの場所に1年ほど前にオープンした「La Terre(ラ・テール)」は、フレンチをカジュアルに楽しめるお店です。
「『ラ・テール』はフランス語で『大地』のこと。最上地域の肥沃な大地で育った食材をふんだんに使うことで、この土地の良さを感じてもらえたら」と話すのはシェフの阿部洋司さんです。
阿部さんは新庄市出身で、高校卒業後は地元や仙台市のホテルで洋食を学んできました。レストラン経営を始めたのは、近年の新型コロナウイルス感染症の流行でさまざまな産業が衰退する中、自分にできることは何かと考えたことがきっかけだったそう。そんな時に舟形町地域おこし協力隊の募集を知り、愛する地元に貢献したいと応募を決意。昨年隊員となり、長年使われていなかった施設を活用してカジュアルフレンチのお店をオープンしました。
愛する地元食材「米の娘ぶた」を使い続けて12年、全てに満足できる食材
ホテル勤務時代から地元生産者とのつながりを大切にしてきたという阿部さん。ランチプレートには地元の旬の食材を使った主菜と副菜を彩り豊かに盛り込んでいます。金山町で育った「米の娘ぶた」も、愛してやまない地元食材の一つだそう。「米の娘ぶた」を使い始めて、ホテル時代から数えると12年ほどになるといいます。「安定した品質や良心的な価格、社員さんのきめ細かな対応などすべてに満足しています」。
「『米の娘ぶた』のソテーカフェドパリ」は、8月に新メニューで登場して以来、瞬く間に大人気に。肩ロースをブロックのまま塩漬けし、70℃で4時間ほどじっくり火を通してカット。そこに5種類ほどの香辛料とにんにく、カレー粉とバターを合わせた「カフェドパリバター」をのせてオーブンで焼き上げます。ブロック肉を塩漬けすることで余分な水分が抜けてうま味が凝縮し、口の中で濃厚なバターと調和します。
また、同じく新メニューの「『米の娘ぶた』の自家製ソーセージバゲット」も、素材のおいしさを生かした一皿。香辛料と塩でシンプルに味つけし、脂の温度管理に気をつけながら仕上げます。
生産者とともに地元食材でつくる料理を通じ、地域を盛り上げたい
「このワンプレートに、食材を作る生産者の想いがのっています。生産者と交流しながら食材を調達できるのはとても幸せなことです」と阿部さん。鮎やマッシュルーム、さくらんぼ鶏、最上伝承野菜といった地域の食材へ愛情を注ぎ、「食を通して地域を盛り上げたい」と話すシェフ。おいしいだけにとどまらず、コロナ禍で失われつつある人とのつながりや感謝の気持ちなど、大切なことを思い出させてくれる温かな場所でした。
「米の娘ぶた」の
自家製ソーセージバゲット
大ぶりな自家製粗挽きソーセージとクミン風味のキャベツマリネのバゲットサンド。豚肉のうま味とキャベツの酸味が絶妙にマッチして、食べごたえも十分。バゲットだけのテイクアウトもOK。
取材・文=綴 彩乃
舟形美食の丘 フレンチレストラン
La Terre
舟形町長沢8067
あゆっこ村センターハウス内
Tel.070-7562-0075
営業時間/
ランチ11:30〜14:30、ディナー要予約
定休日/
月曜日、第2・4火曜日
お店に聞いた「米の娘ぶた」
おすすめレシピ
「米の娘ぶた」のポテ
フランスで人気の家庭料理「ポテ」。同じ煮込み料理でも、ポトフは牛肉、ポテは豚肉とキャベツを使うのが特徴です。塩漬けした豚肉や一緒に煮込む野菜からうま味がたっぷり出るので、ブイヨンは少量でOK。スープまでおいしくいただけます。
- 「米の娘ぶた」バラブロック 500g
- 塩 8g(豚肉の重さの1.6%)
- グラニュー糖 5g
- キャベツ 1/2個
- にんじん 1/2個
- じゃがいも 小4個
- カブ 1個
- チキンブイヨン 少量
- 塩こしょう 少々
- マスタード お好みで
※ソーセージやベーコンなどもお好みで
- バラブロックに塩とグラニュー糖を振り、一晩置く。
- 鍋に@の肉とかぶるくらいの水を入れ、火にかける。沸騰したら火を弱めて2時間煮て、水が少なくなったら足す。
- チキンブイヨンで味を調整した後、皮をむいたじゃがいもとにんじんを入れて、やわらかくなるまで煮る。
- 大きめに切ったキャベツと4等分にしたカブを入れる。ソーセージやベーコンがあれば加える。
- 塩こしょうで味を調え、肉を切り分けてできあがり。
「米の娘ぶた」のソテーカフェドパリ
ソテーした肩ロースに、カレー粉など数種類の香辛料をあわせたカフェドパリバターをのせて。オーブンでじっくり焼き上げた肩ロースの赤身と脂身それぞれのおいしさに、バターベースのソースがベストマッチ。お店ではプレートランチで楽しめます。