オムライスやハンバーグ、カレーライスやチキンソテーなど、日本で西洋料理を独自に発達させた「洋食」は、今やこの国の食文化の一つとなっています。「ビストロマーシー」は正統な洋食を気軽に味わえるお店として長く愛されてきました。
「30年前、この辺りにはステーキやビーフシチューなどを提供する洋食の専門店がいくつもありました」と話すのは、山形市で30年来続くビストロマーシーのオーナーシェフ植松勝栄さんです。植松さんは以前このページで紹介した「紅月庵」を河北町にオープンするにあたり、ビストロの2代目シェフを長男の一樹さんに託しました。
カマンベールチーズを使ったインパクトあるメニューがインスタグラムで話題に
ビストロマーシーといえば3年ほど前からインスタグラムで、あるメニューが話題に。ハンバーグやオムライスにカマンベールチーズを丸ごと一つのせ、ナイフを入れると中からとろ〜っとチーズが溶け出す一皿です。
「数年前に、旧知の竃セ治の営業の方からカマンベールが普及する方法を考えてほしいと相談を受けました。当時は食べ方がほとんど知られていなくて」。植松さんは試作を重ね、やがてインパクトのあるメニューが完成。「インスタ映えするために作ったわけじゃないんです(笑)」ということは食べれば納得、カマンベールをのせたハンバーグもオムライスもじつに丁寧に作られていて、フレンチの技法を踏襲した正統な洋食の味わいです。
特にハンバーグは国産牛のすじ肉を100%使い、食べるとものすごくやわらかくふわっとして、しっかりと牛肉のおいしさを感じます。今回は大商金山牧場で育てている山形牛を使って、肉は二度挽き、牛脂をごくわずかに混ぜてなめらかさを出しています。
「すね肉のような本来の肉のうま味がある部位を使って、噛めば噛むほど肉の味を感じてもらえるようにしました。脂を控えている分、カマンベールで油脂分の風味を補っています」。
ジュっと肉汁があふれる脂の味を楽しむハンバーグではなく、肉そのもののおいしさを感じられるハンバーグに。インパクトだけのメニューではないことを裏付けるように、「カマンベールハンバーグ」は1カ月で最高1500食も提供したそうです。
美味しさが受け継がれ、世代を超えて街にたたずむビストロに
長く愛されてきたお店を息子さんに引き継いだ今、植松さんは「お店は自分の好きなようにやってもらえればと思っています。オムレツは私よりうまいですよ」と信頼と期待を寄せます。「いろんなお店があって街は成り立っているので、周りの人たちを尊重して、自分の立ち位置をしっかり持って、料理人を楽しんでほしいですね」。子どもの頃から親しみ大人になっても通える街のビストロは、気さくで温かく、おいしそうな香りを漂わせて、その街にいつもたたずんでいます。
オーナーシェフ 植松 勝栄さん[左]
30年前に35歳でビストロマーシーをオープン。シェフとパティシエのいるビストロとして、食事メニューからお菓子まで全般を提供してきた。今年1月、河北町に「紅月庵」をオープン。洋食を“普段着のごちそう”として楽しんでもらいたいと語る。
シェフ 植松 一樹さん[右]
山形学院調理科を卒業後、横浜市のホテルニューグランド、仙台市の株式会社MJQの結婚式場などで調理経験を積む。帰郷後は本好きが高じて書店に勤務。今年、お父様でオーナーの勝栄さんの新店舗オープンに伴い、ビストロマーシーのシェフに。
レストラン ビストロマーシー
山形市馬見ヶ崎4-1-10
Tel.023-681-2135
営業時間/
ランチ 11:30〜15:00(14:30LO)
ディナー 18:00〜21:00(20:30LO)
定休日/月曜日(ディナーのみ休)、木曜日
お店に聞いた「米の娘ぶた」
おすすめレシピ
「米の娘ぶた」のソテー マスタード風味
ソテーにしてもやわらかさが際立つ「米の娘ぶた」。噛むほどにじゅわっとしみ出すような肉のうま味を、トマトソースの酸味とあわせていただきます。こちらは11月の毎週火曜日の日替わりランチに登場!
- 「米の娘ぶた」肩ロース
- 塩
- オリーブオイル
- トマトソース
- いんげん
- なす
※付け合わせはお好みで
- 豚肉は筋を切り、塩をふって少し置く。豚肉から出た水分を拭き取って薄力粉をまぶす。
- フライパンにオリーブオイルを中火で熱して@の豚肉をソテーする。余分な油を拭き取りながら、両面が白くなるまで焼いた後で、オーブンで5分ほど焼く。
- 付け合わせは季節の野菜などお好みで。いんげんは塩ゆで、なすは蒸したもの。
- トマトソースは生のトマトやホール缶などを使って それぞれのご家庭の味でどうぞ。
カマンベールハンバーグ
牛肉100%のハンバーグはふっくらとやわらかく肉のうま味を感じる焼き上がり。カマンベールチーズがソースのように絡みます。